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三鷹市芸術文化センターで、演劇・落語・映画・狂言公演の企画運営に従事しています

森元 隆樹

(公財)三鷹市スポーツと文化財団 副主幹/演劇企画員

タイマン『かなわない夢ガール』

タイマンの舞台を初めて観たのは、2016年2月、第4回公演『カステラと伊達巻』(高円寺ライト サイド カフェ)であった。小劇場の実力派、笠井里美、 齋藤陽介、森田祐吏の3人によって演じられたその芝居は、カフェがそれほど広くないがゆえに開演前に感じた「役者さんからも私の姿がよく見えるんだろうなあ」というささやかな自意識すら忘れてしまうほどに面白かった。齋藤洋介の脚本はなかなかに緻密であり、笠井里美の指先まで神経を行き渡らせたかのような繊細な演技と、森田祐吏の柔軟性に満ちたしなやかな動き、そして、その場の空気をしっかりと掴まえる齋藤洋介の存在感が加わって、物語は厚みに満ちたものになっていた。 ////// <劇団HPより> 2012年11月、笠井里美と齋藤陽介が立ち上げた演劇ユニット。やりたいことを、やりたい時に、やりたい場所で。そんな感じで始まった。脚本は主に齋藤が務める。 二人のユニットなので、1対1という意味で「タイマン」と名付けられる。やがて森田祐吏が加わり三人体制になったが、変わらずタイマンを名乗っている。 ユニット名のもうひとつの由来である”怠慢”が表すとおり、公演回数は少なく、かつ不定期。だが、公演に向かう時には演劇と真っ向からタイマンする。 ////// 真っ向勝負の「タイマン」と、争い御免の「怠慢」を、見事に二律背反で抱きしめる演劇ユニット。「タイマン」と挑みかかられれば「怠慢」と、「怠慢」と謗(そし)られれば「タイマン」と、本音を掴ませない曖昧さを装いながら、密かな野心もチラつかせゆく、第5回公演。『かなわない夢ガール』。 <<<>>> 破天荒 ── 豪快・乱暴者・酒飲みのあらくれ、みたいなイメージが一般的だが、本来は「いままでだれもしなかったようなことをすること、前代未聞」という意味らしい。(中略)それのみに没頭できるということは、逆を言えばその間はほかのなにもかもを忘れられるということだ。捨てられるということだ。犠牲にできるということだ。たしかにそれは、乱暴だ。 凡人はこれができない。凡人のわたしにはそれがよくわかる。達成したい目標があるときに立ち止まる。越えられそうもない壁をあきらめる。夢を、夢にしておく。大人になるほどその数は多くなる。守るものが増えていくから。守るべきものも、そうでないものも。 なりたいものになりたい。凡人には破天荒がうらやましく、うとましい。 <<<>> 一見ファニーなタイトルのチラシの裏に書かれた、極めて硬質なコピー文。ここにも垣間見える「照れ隠しの笑顔の下から見え隠れする、したたかな野心」が導く本作は、初めて外部から演出家を招き、(カフェ公演を離れ)初めて劇場という空間での公演を選び、初めて客演陣を招き入れた、チャレンジに満ちた一作。 やりたいことを、やりたい時に、やりたい場所で。 今この時の、「タイマン」のアンサーを見届けたい。

19/11/8(金)

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