Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

新進女優や新たな才能にフォーカスした作品を中心に紹介

イソガイマサト

フリーライター

空に住む

タワーマンションの高層階に住むことになった直実が、同じマンションに住むスター俳優・時戸森則(岩田剛典)と夢のような時間を過ごすことになって……。そんな設定だけを聞くとキラキラ映画を想像しがちだけど、『EUREKA ユリイカ』で知られる青山真治監督の7年ぶりの新作はもちろん、そんな薄っぺらなものではない。 なにをしても心が満たされない直実は、閉塞した現代を生きる私たちを象徴するような存在。そんな彼女の心の変化を、本作は浮遊しているようなタワーマンションでの生活と直実が働く古民家のような出版社を対比させ、人との距離感と関係性や価値観の違い、表の顔と裏の顔、死生観を絡めながら、視覚にも訴える形でゆるゆると炙り出していく。 そして、時戸森則との間で主に交わされる哲学的な会話の数々が、直実だけではなく、私たちの心にも突き刺さり、コロナ禍で家に閉じこもりがちな自分自身と向き合わせることに。それにしても、直実を演じた本作の多部未華子はいい。ドラマとは違う、少し大人っぽい彼女が、この映画を私たちのリアルな物語にしている。

20/10/22(木)

アプリで読む