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イソガイマサト
フリーライター
花束みたいな恋をした
21/1/29(金)
もう最高だ~! 東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことがきっかけで出会った麦と絹。彼らの5年間にわたる恋の変遷を描いた本作は、大好きな映画や音楽、小説などの話で彼や彼女と盛り上がったことのある人なら誰もが心から共感できるラブストーリー。 麦と絹に扮した菅田将暉と有村架純の距離感や息遣いが本当の恋人のように初々しいし、彼らが過ごすのは実際にある場所。話題にする映画や音楽のタイトルも現実世界のもので、会話の内容も身に覚えにあるものに近い。そう、映し出されるのは毎日が楽しくて輝いていたあのころ。でも、夢のような時間は永遠ではないし、現実の生活がその楽しい時間を侵食していく。その、ふたりの関係がギクシャクし出すあたりでは心の奥底のビターな記憶も蘇るが、その感覚も含めて愛おしい。 現代が舞台の坂元裕二のオリジナル脚本も、坂元とドラマ『カルテット』(17)でもタッグを組んだ土井裕泰監督の演出も、主演のふたり同様に奇跡とも思える絶妙なバランス! ギュっと抱きしめたくなる愛の名編だ。
21/1/30(土)