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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

サイレント・トーキョー

回想シーンを除けば、半日間のドラマ。上映時間も99分と、短い。 タイトル通り、静かな映画だ。俳優たちも絶叫しない。音楽も、情緒を掻き立てるようには響かず、抑制的。 スリル、サスペンス、ちょっとした片思い、家族の秘密、刑事の過去らしきもの、政治への眼差しと、いろいろなものが凝縮されている。 セールスポイントのひとつが、現実の渋谷駅前と原寸大のオープンセットを作り、1000人規模のエキストラを使っての爆破シーン。なるほど、リアルだ。 テロリストの出てくる映画は、「いかにしてテロを防ぐか」の攻防戦になり、都市での爆破シーンは起きないのが多いが、この映画は序盤であっさりと渋谷を爆発させてしまう。 意外な人物が真犯人で、その動機も、よくある「平和ボケの日本人を覚醒させる」というものを、さらにひねる。 何年とは特定されていないが、クリスマス・イヴでの事件という設定で、撮影は昨年秋。 一年後の2020年のクリスマスに公開される前提で制作されたわけだが、現実の2020年のクリスマス、渋谷はこの映画のように盛り上がることはない。 あったであろう2020年の華やかなクリスマスへの追憶の映画になった。

20/12/2(水)

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