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水先案内人のおすすめ

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平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

浜の朝日の嘘つきどもと

昨年12月まで映画館の連載を担当させていただいた筆者にとって見逃せない作品だ。福島県南相馬市に実在する「朝日座」をモチーフにした映画館をめぐるストーリー。昨年はミニシアターエイド基金が大きな盛り上がりを見せたが、全国のミニシアターは動員が落ち込み、苦しんでいる。 縁もゆかりもない名画座に押しかけ、映画館を復活させると息巻くヒロイン(高畑充希)と周辺の人々の物語。館主(柳家喬太郎)から名前を聞かれ、目に留まったチケット売り場を見て、「茂木莉子(もぎ・りこ)です」と名乗るところは黒澤明監督の名作『椿三十郎』から引用。北野武監督の『キッズ・リターン』へのオマージュもある。ほかにも映画ファンなら、にんまりするような仕掛けも。劇中に登場する映画のセレクトも渋い。 実際の朝日座は1923年に芝居小屋として誕生し、戦後は映画の常設館に。1991年に閉館し、その後は年に数回、アニメ作品の上映会が行われているとのこと。昭和の雰囲気を残す建物には、シネコンにはない味わいがある。コロナ禍が収まったら、行ってみたい。映画を愛する人はぜひ。

21/9/5(日)

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