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現代の名人芸を追い続ける
山本 益博
1948年生まれ 料理評論家、落語評論家、プロデューサー
さん喬独演会 二夜
19/7/12(金)~19/7/31(水)
日本橋社会教育会館
東京の落語会の正統派といえば、真っ先に指を折る一人が柳家さん喬である。座布団に座って、いきなり面白いことをいうわけでもなく、時の話題をギャグにするわけでもない。静かにしゃべりだし、落語の雰囲気を作り出してから、知らないうちに本題に入って、観客の心を一つにまとめてゆく。 誠に年季の入った噺の運びで、これを私は「名人芸」と呼ぶ。 一昔まえの小粋な落語家は、皆こうだったように思う。それに比べると、今の人気落語家は、誰も面白くて、巧いが、高座が賑やかすぎる。さん喬師匠と話す機会があるたびに、こんな話題になる。 今回の「夏の独演会」に伺いますと伝え、演目は何でしょうかと訊ねると、「さて、なににいたしましょうかね?」という返事だった。きっと、決めているのに、当日の客席の空気を読んで、演し物を決められるのではなかろうか。 季節を考えると、『あくび指南』『千両みかん』などが聴きたいなあ。人情噺なら『唐茄子屋政談』だろうか?
19/7/2(火)