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水先案内人のおすすめ

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演劇鑑賞年間300本、記者歴40年のベテラン

大島 幸久

演劇ジャーナリスト

こまつ座『化粧二題』

井上ひさし氏の代表作、『化粧二題』。一人芝居の2本立て。「親のない子はどこ見て分かる」。息子を捨てた母親、片や母親に捨てられた息子。胸にジ~ンと染みてくる一人芝居の傑作だ。 大衆演劇の座長2人。まず、有森也実が扮するのは「五月座」の座長・五月洋子。客入れの演歌が流れている芝居小屋の楽屋。いかにも旅回りの一座が打ちそうなさびれた小屋だ。これから洋子十八番の「伊三郎別れ旅」が掛かろうとしている。化粧前に座り、白粉をたっぷりと塗りながら、一座の連中に稽古を付け、衣装を着ていく。そこに突然の来客。テレビ局が訪ねてきたのだ。 もう1本の役者は内野聖陽。「市川辰三劇団」の座長・市川辰三。時はクリスマス間近、場所はやはり楽屋。やって来たのは孤児院でお世話になった恩師……。 座長2人はともに座員に口立て稽古をするのだが、その台詞には大衆の苦難、自身の生い立ち、子や親を思い、慕う切々とした心情が込められている。二幕構成で演出は鵜山仁。姿が見えない座員や来客に語りかける内に、その人問が浮かんでくるような演技、想像する観客。有森は「お客様と心を繋ぐことができたら」、内野は「パワフルに繊細に」とコメントしている。

21/8/15(日)

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