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ホラー、ミステリー、トンデモ映画が大好物

春錵 かつら

映画ライタ―

ミナリ

つい最近のことだ。日本では採卵鶏のオスひよこが誕生したその日に殺されることを知った。私たちが日常口にしている食物の出自について、多くの情報が日々目に入るような時代になっているが、“できることなら、知りたくなかった真実”は、いつも容赦なく、私たちを思索と葛藤、そして選択の道へと突き飛ばす。 1980年代のアメリカを舞台に、韓国からの移民一家が成功を目指して奮闘する本作の冒頭に、先の“オスのひよこ”の話が登場する。 「オスのひよこは役に立たないから殺される。俺たちは役に立たなければならない」。 一家の主たる主人公の、“オスのひよこ”になるかもしれない不安と、なってたまるかという意地が、家族に混乱を運び、そして物語を運ぶ。 “できることなら知りたくなかった真実”は、容易ではないアメリカンドリームであり、現実世界そのものでもある。 “オスのひよこが殺される世界”から、抜け出すことが出来るのか。不幸なモノたちへの自己投影はまるで呪いのようだ。希望は、そんな呪縛から自由になる時に訪れるのかもしれない。

21/3/27(土)

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