Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

約束の宇宙

女性は子供を産んでも夢を叶えられる。けれどそれには男性以上の心労と努力が必要であり、ひとりでも多くの支援者が必要だとアリス・ウィンクール監督は映画を通して叫んでいるように思えた。 宇宙飛行士は過酷な訓練を必要とし、一つの判断ミスがクルー全体の死を招くとも言われる職業。だからなのか、マット・ディロン演じるチームリーダーの宇宙飛行士は、最初、彼女の能力を知る前から何故か必要最小限のポジションにつかせようとする。 個人的な話だけれど、ひとり親になったこともあれば、この映画の母親の娘より少し小さい娘の子育てをしながらフリーランスで映画を語る仕事、司会をする仕事を続けている。 それは大変であり、人の手助けがあって成り立っている。ならば子育てに影響を与えない仕事をすればいいのではという人もいるだろう。じゃあ男性は結婚して家族を持っても生活スタイルは変わらないのは何故なのか。子供は母親が好きだからか? 子供を育てるのが母親の役目だからか? 考えてもらいたい。 劇中、主人公は子供のトラブルで上司に叱られるが、「あなたは子供を奥さんに任せっきりだから!」と言い返す。これが実はこの映画の根底にあるテーマであり描きたいことだろう。宇宙飛行士の映画は今まであったし、マシュー・マコノヒーは宇宙から妻と子供と交信してるし、サンドラ・ブロックが宇宙で一人ぼっちになる映画もあった。 エヴァ・グリーン演じる主人公が何故、母親であり宇宙飛行士なのか。何故、宇宙に行く前の物語なのか。大事なのは、実力があってもここまで苦労をしなければ子持ちの女性は夢を叶えられないということであり、そんな社会を変えるのはこれからの私たちであり、子は親の背中を見て育つと言われているから映画の主人公の子供は“娘”なんだと気づかされる。 女の子に生まれたって、子供を産んだって、夢を叶えられる。『約束の宇宙』は、子供たちへ向けた未来へのメッセージなのだ。

21/3/24(水)

アプリで読む