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映画史・映画芸術の視点で新作・上映特集・映画展をご紹介

岡田 秀則

1968年生まれ、国立映画アーカイブ主任研究員

石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか(後期)

東京都現代美術館での石岡瑛子展は、大盛況のうちに終わった。だが少なからぬ人たちは、もう一つの石岡展も注視しているはずだ。その後期では、鮮やかさ極まる広告ヴィジュアルや巨大プロジェクトに挑む石岡とは違う、グラフィカルな洗練の中にほのかな官能をたたえた初期のクリエーションを観ることができる。例えば、曲線的な幾何図形を表紙の中に練り込んだブックデザインは、石岡のやや内省的なもう一つの顔であろう。 だがここでは、筆者の関心に従って映画ポスターに着目したい。もちろん、滝野晴夫の緻密な画を鋭くフィーチャーした2種の『地獄の黙示録』ポスターには改めて瞠目せざるを得ない。これらは、日本の映画ポスターアート史の中でも屈指の傑作であろう。だがそれに加えて、ヴィスコンティの『イノセント』が見せる、妻と愛人の間を揺れ動く男の破滅をシンボリックに表現したヴィジュアルの鮮烈さにも目を奪われる。映画産業が当然のものとしてきた宣伝の文法を塗り替えんとするほどの一枚だ。 その高い戦略性に裏づけられた奔放さにとっては、映画という枠組み自体が窮屈に感じられたに違いない。『ドラキュラ』で彼女と対峙したフランシス・フォード・コッポラはそのことを分かっていた。「映画業界にとっても、彼女は異邦人であり続けるだろう」。確かに、後年に至っても《映画》と石岡瑛子は最後まで和解した気がしない。それが両者の矜持なのだろう。むしろこれらポスターこそが、《映画》と石岡のもっとも幸福な関係だったのかも知れない。3月19日まで。

21/2/20(土)

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