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ギャラリーなどの小さいけれども豊かな展覧会・イベントを紹介します

白坂 由里

アートライター

作品のない展示室

何もないけど満ちている。新型コロナウイルス感染拡大抑制のため、予定されていた展覧会を中止した世田谷美術館にて、作品を何も置かず展示空間だけを無料で公開する企画展が開かれている。 弧を描いた最初の展示室では、作品保護のために通常は壁を立てて塞がれている窓から外光が差し込み、砧公園の景色が見渡せる。大樹、木立の間に歩く人々などが見え、動く絵画のようだ。長方形の展示室では、磨かれた床に照明の光が映り込み、ショウケースには淡く窓外の緑が映り込んでいた。 奥の部屋では、これまでの展覧会チラシのスライドが映されている。「アメリカ現代版画 7人の巨匠」を母と見たのは1992年だったか。母は今では家の近所までしか歩けない。電車に乗って駅から美術館まで歩く体験の貴重さよ。作品搬入のための開口部も公開され、美術をめぐる人々の営みを思う。特集「建築と自然とパフォーマンス」と題したパフォーマンスの記録映像が、ものだけでない美術館活動の積層を浮かび上がらせる。 壁には、美術館を設計した建築家・内井昭蔵の言葉がいくつか展示されている。「美術館は美術と生活との関連をとらえ、示す場でなければならないと思う」。自然と人間と美術の関係について公園を通勤しながら思考されていた初代館長・大島清次氏の遺志の継承も感じる。世田谷美術館は、初期から人々の活動の場でもあった。2階では収蔵品展(一般200円ほか)も開催されている。

20/7/30(木)

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