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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。
春日 太一
映画史・時代劇研究家
赤い闇 スターリンの冷たい大地で
20/8/14(金)
新宿武蔵野館
実話をベースにした作品だが、それを差し置いても映画的な魅力に満ちた一本といえる。 しかも、一度で三本分の楽しみを味わうことができる。序盤はスパイ映画のようなスリリングさ、中盤は地獄巡りの重々しさ、そして終盤は社会派映画の苦々しさ。 物語は第二次世界大戦が始まる少し前。イギリス人ジャーナリストの主人公は、スターリンの下で驚異的な発展を遂げるソ連の状況を探りに現地へ潜入する。 ソ連ならではの、登場人物たちの怪しさやタイトル通りの景色の冷たさが、主人公のミッションの困難を際立たせていた。中盤に目にすることになるウクライナの惨状も凄まじい。 そして何より、どんな状況にあっても折れない主人公のバイタリティに乗せられる。
20/8/13(木)