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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

シリアにて

息詰まる……とは、この映画のためにある言葉なのかもしれない、とすら思えた。逃げ場のない息苦しさが全編を貫く。 舞台は内戦が続くシリアの都市にあるマンションの一室。物語はほぼ、そこのみで展開されていく。 素晴らしいのは、その一室の描写で“戦争”という状況を観る側にリアルな感覚とともに伝えていることだ。 本作では日常が丁寧に描かれている。戦禍にあっても、人間は腹は減るしトイレも行くし娯楽も欲しい。そこは我々と変わらない。 違うのは、一歩外に出たらスナイパーに撃ち抜かれ、家にいても爆撃の衝撃に揺れ、暴漢もやってくる。どこにも安全圏はない。それでも、人々は日常を過ごす。そのことが「これが戦争ということか」という意識を際立たせていたいった。 戦争映画の表現に新しい文脈を提示した一本だ。

20/8/17(月)

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