Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

少年の君

中国の進学校で残酷なイジメに立ち向かう少女と、彼女を助けようとする少年の物語。見事に練り込まれた展開で、ふたりの顛末に引き込まれる。 受験は人生で唯一のフェアなゲームだ……。劇中、そんな言葉が流れてきて思わずハッとした。 受験に勝利してこの地獄から脱すること。それだけを考えて主人公は生きてきた。若い心身には支えきれないほどの、さまざまな理不尽が彼女には降りかかる。それに対して、受験は勉強して成績を上げて試験に合格すれば勝利できる。そこに残酷な他者の介在する余地はない。だから、それは生きる希望になる。 中学時代の自分自身がまさにそうだったから、その言葉を胸に地獄の学校生活を生き抜こうとする主人公が他人事に思えなかった。 この映画が素晴らしいのは、それだけではないことだ。 それだけ全てを託してきた受験への道が、これまでの理不尽による残酷な因果のために閉ざされそうになった時、どうするか。まだ若い身にはあまりに重い選択を彼女は迫られる。 ヒリヒリする心理劇として見事に仕立て上げたデレク・ツァンの演出、それに完璧に応えたチョウ・ドンユィの痛切な演技。全てが完璧だった。

21/7/15(木)

アプリで読む