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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

ドリーミング村上春樹

「完璧な文章などというものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」と聞いて、すぐにわかる人は、ニヤニヤしながら観るだろう。 村上春樹ファンというよりも、翻訳者、翻訳書の編集者必見の映画。 デンマークで村上春樹を翻訳している女性が主人公だ。『風の歌を聴け』を訳していて、最初に掲げた有名な一節をどう翻訳したらいいか悩んでいる。 出版社が作った装丁のデザインに、「これはダメ、村上は喜ばないと思う」とはっきり言って、編集者が困った顔をするシーンなど、同業者として身につまされた。 40年前、村上春樹がデビューした当時は、その翻訳調の文章が話題になった。最初に英語で書いて、それを自分で日本語に訳しているらしいという都市伝説もあった。それくらい、日本では「村上春樹は英語に翻訳しやすい」と思われているのに、各国の翻訳者たちが苦労しているのを観て、改めて、翻訳の難しさを感じる。

19/10/16(水)

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