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吉田 伊知郎
1978年生まれ 映画評論家
麻雀放浪記2020
19/4/5(金)
丸の内TOEI
戦略のないリメイクは失敗する。殊にオリジナルが名作の場合は、黒澤映画の無残なリメイクを挙げるまでもなく、手を出せば手痛い目に遭う。では、どうすればいいか? 知名度があり、修正の余地のある作品を狙うしかない。私見では『十三人の刺客』(1963/2010)、『日本のいちばん長い日』(1967/2015)あたりが、リメイク版の成否はひとまず問わずにおくとして、そうした絶妙な位置にある作品である。阿佐田哲也の同名原作をもとに製作された和田誠の初監督作『麻雀放浪記』(1984)も秀作だとは思うが、リメイクの余地はある。ただし、全く異なる手法と視点によって作るという条件が付くが。 というのも、和田版の『...
19/4/5(金)