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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

シン・エヴァンゲリオン劇場版

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(12年11月公開)以来の劇場第4作。前作の95分に対して、155分という大作だが、あっという間。8年間待った分の期待に応えてくれた。これは総監督の庵野秀明氏の集大成だろう。 その冒頭シーンはネット上でも公開されているが、荒廃したパリでのアクションから描写は緻密で、こだわりを感じさせる。アニメ描写も、CG、手書きセル、ラフなどを場面ごとに使い分けており、飽きさせない。 これから観る人のためにネタバレは避けるが、ファン心をくすぐった難解さや謎も概ね氷解し、腑に落ちる。特に強く感じるのは、古典へのオマージュだ。あるシーンは『2001年宇宙の旅』であり、あるシーンは『ウルトラマン』と庵野総監督の好きな世界観を詰め込んでいる。難解な専門用語や神話を織り交ぜて語られてきた壮大なストーリーも要約すれば、父と子、夫とその妻、母と子の物語で、『スター・ウォーズ』サガを連想。父親殺し、神殺しというテーマも古典から踏襲しているように思えた。 もちろん一回観ただけで全部を理解しきったとは思わないが、TV版、映画版を観直してから、もう一度観てみたいと思うだけの作画力と物語性がある。熱心なファンであればあるほど、何度も劇場に足を運ぶことになるはず。私も、少なくとも、もう1度は観てみたい。

21/3/10(水)

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