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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

天才ヴァイオリニストと消えた旋律

世界的に著名なヴァイオリニストに一度だけ会ったことがある。主演した『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』(2014)のキャンペーンのために来日したデビッド・ギャレットだ。映画の出来はイマイチだったが、超一流のヴァイオリニストであるギャレットがパガニーニに扮して演奏しているだけに、演奏シーンは圧巻。それ以降、『パガニーニ』を越えるヴァイオリンの演奏シーンはお目にかかっていない。 本作は、『レッド・バイオリン』(1999)『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』(2014)などを手掛けた音楽映画の名匠フランソワ・ジラールが監督、『海の上のピアニスト』(1999)のティム・ロスと『トゥモロー・ワールド』(2006)のクライヴ・オーウェンが共演する、ヴァイオリニストを主人公にした音楽ミステリー。 1938年、ロンドンに住む9歳のマーティンの家に、類まれなヴァイオリンの才能を持つポーランド系ユダヤ人の少年ドヴィドルがやって来る。マーティンと兄弟のように育ったドヴィドルは、21歳でデビューコンサートの日を迎えるが、当日になってこつ然と姿を消してしまう。35年後、マーティンとドヴィドルは再会。失踪事件の真実が明かされる。 宣伝資料には、「21世紀を代表するヴァイオリニストのレイ・チェンがヴァイオリン演奏を担当」と書かれている。チェンが果たして「21世紀を代表する」奏者なのかどうかはともかく、彼が指導したクライヴ・オーウェンの演奏シーンは、ギャレットのそれに勝るとも劣らない素晴らしさ。オーケストラ演奏の華であるヴァイオリンは、映画でも小道具の女王なのだ。

21/11/13(土)

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