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水先案内人のおすすめ

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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

インディアンムービーウィーク2021 パート2

『グレート・インディアン・キッチン』(9/18、10/4) 〜キネカ大森「インディアンムービーウィーク2021 パート2」(9/10〜10/7)で上映〜 インドの上流階級出身で教育を受けた若い女性が、家父長制と女性嫌悪を意味するミソジニーに取り込まれ“窒息”寸前になる様子をドキュメンタリー風に描いた傑作です。6月の「インディアンムービーウィークパート1」で話題となり9月10日からキネカ大森など全国11劇場で始まるパート2でも再上映が決定。この機会を是非ともお見逃し無きように。 ケーララ州北部の町で、高位カーストの男女がお見合い結婚。夫は伝統的な邸宅に暮らしています。一方、中東育ちで西洋式のモダンなライフスタイルに馴染んだ妻は、夫の両親が同居する婚家に入りますが、早朝から夜遅くまで家事に振り回され、ようやく解放されたと思えば今度は寝室で待っていた夫に付き合わされるという生活に疑問を持ち始めます。 追い打ちをかけるように夫の父親が「ご飯を炊くなら炊飯器ではなく鍋を使って」「洗濯機を使うと服の生地が傷むので手洗いでやって」などと細かい注文を出します。使い終わった山のような食器を前にため息をついているのに「お茶を出せ」と言われれば顔もひきつってくることでしょう。原因は家事の担い手と分量とのミスマッチ。人を駒としかみていないという人権に対する意識の低さは我が国の現状とも重なります。時代遅れの慣習に苦しめられるヒロインですが、実家で呑気に水をおねだりする弟に啖呵を切る主人公のカッコよさ。名も知らぬごちそうやスイーツが次ぎ次と紹介されるので後味は悪くないはずです。

21/9/9(木)

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