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映画と気になることをイラストで紹介!
高松 啓二
1958年生まれ イラストレーター
燃ゆる女の肖像
20/12/4(金)
TOHOシネマズ シャンテ
18世紀のフランス、画家のマリアンヌは貴婦人の娘エロイーズに悟られないように肖像画の制作を依頼されるが……。頼まれて絵を描くのは、画家よりイラストレーターに近く、ボクも同業者として描き手の気持ちが痛いほどわかる。彼女に気づかれぬように観察するが、時折目が合ってしまい、思わずそらしてしまうのが可笑しい。目、口、あごと各パーツのスケッチをかき集めて仕上げていく。それでも、ただ仕事をこなすだけだと本人らしさを表現できず、最初はエロイーズに否定されてしまう(マリアンヌも自覚しているだけに激高するのもわかるなぁ)。肖像画も似顔絵も技術的な高さより、その人の本質をつかむことが重要なのだ。また、キャンバスの絵の具のりをよくするためのセピアの地塗りやハイライト部分が、一番絵の具を盛る古典的絵画技法を丁寧に描き、芸術性を演出する。そして本質をとらえた時、絵画も映画も美しくかがやく。
20/12/5(土)