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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

スパイラル:ソウ オールリセット

グロい映画は決して得意というわけではないのだが、不思議と『ソウ』シリーズは続けて観ていた。5作目までは毎回アッと驚くどんでん返しを用意してくれたことが大きい。 6作目以降は殺人鬼ジグソウの後継者争いみたいな展開になりトーンダウンしたが……。 そんなシリーズの、装いを新たにしての新作。期待と不安、半々で観てみたところ、これは拾い物だった。シリーズを見慣れていると真犯人の目星はつくので、どんでん返し的な面白みは薄い。が、それを補えるほどドラマとして濃い。 題材としては警察署内の不正。それを巡り、ふたつの正義が交錯する。ひとつは自らの信念を貫いたために組織内で孤立する『セルピコ』的な正義。もうひとつは狂気として暴走する『ダーティハリー2』的な正義。そのキーとなる主人公の父親役のサミュエル・L・ジャクソンの好演が、正義のあり方を観客に突きつけてくる。 これまでの拷問ゲーム的な残虐描写は抑え気味になっている一方で社会派作品としての色合いがでているので、シリーズ初見の方でも問題なく観られるはずだ。

21/9/11(土)

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