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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

ボクたちはみんな大人になれなかった

コロナ禍の2020年、「ほとんど人がいない東京」から始まる。 劇映画でこの光景が描かれるのは、最初ではないかもしれないが、かなり早いほうだろう。 物語は、そこから数年ごとに1995年へと遡っていく。 「近過去の再現」と、主人公を演じる森山未來が「数年ずつ若返る」、その演技とメイクが見もの。 主人公はテレビのフリップなどを制作している会社に勤めている。その会社は、最初はアパートの一室から始まり、だんだん大きくなっていく。それにつれて、パソコンなどの機器が進化していったことが分かる。「ポケベルが鳴り、公衆電話で電話をかける」なんて時代があったな、と。そのへんの細かい描写が、よくできている。 流れる音楽やファッションも「時代考証」がなされている。 考えてみれば、江戸時代のことは誰も知らないから、多少の間違いがあっても指摘されないが、この四半世紀を舞台にしていると、「この年には、これはなかった」とか指摘されやすいから、難しい作業だったろう。 タイトル通り、大人になれない人たちの成長しない物語。多分、1970年代生まれなら、共感するところが多く、流れる音楽やアートも懐かしいと感じると思う。

21/10/27(水)

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