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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み
伊藤 さとり
俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ
新聞記者
19/6/28(金)
新宿ピカデリー
韓国映画『怪しい彼女』のヒロイン、シム・ウンギョンが日本の新聞記者?と思ったら、やっぱり素晴らしい女優だったし、なにより今の日本でこの映画を作ったことが未来の日本映画界を変えるやもしれないと思うとドキドキが止まらない。 アメリカに比べて、政治を題材にした映画は日本ではなかなか難しいのだけど、さらに実話がベースだったので、そのセンシティブな内容にヒヤヒヤしながら鑑賞。ラストなんて、「そこで終わるの!?」と消化不良になって、悶々としながら試写室を出る顛末。だけど、それでいいのかもなという思いがジワジワ押し寄せてきて結果、納得。だってこの事件終わってないものねぇ。 そして『娼年』でも気づいていたけれど、松坂桃李という俳優は影が似合う。そんな光と影を物語の一部にしてしまう藤井道人監督だからこそ、多くの嘘で隠された真実、栄光と背中合わせの闇を映像でも表現しているのです。このチャレンジングな作品こそが、本来、社会と繋がるべきエンタテインメントのあり方なんじゃないでしょうか。
19/6/24(月)