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黒田 隆憲

音楽ジャーナリスト、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン研究家

塩田千春展:魂がふるえる

塩田千春の、過去最大規模の個展が東京・六本木の森美術館にて開催されている。 ベルリンを拠点にグローバルな活躍をする塩田千春は、記憶、不安、夢、沈黙など、かたちの無いものを表現したパフォーマンスやインスタレーションで知られるアーティスト。自身の「喪失感」や「欠乏感」といった個人的な体験をモチーフとしつつ、生と死、自分と他者などの境界線やアイデンティティ、存在理由など誰しもが抱えている普遍的なテーマへと作品を落とし込むことによって、世界中の人々を魅了してきた。 本展には、彼女がこれまで手がけてきた大型インスタレーションを中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを展示。その25年の軌跡を振り返る。中でも印象的なのは、黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせたダイナミックな没入型のインスタレーション。その中を歩いていると、まるで自分自身の境界線が曖昧になり、時間や空間の概念を超えて「他者」と繋がっているような、そんな不思議な気分を味わえる。 副題の「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震える心の動きを伝えたいという、作者のメッセージが込められている。恐怖と安堵と不安が一気に押し寄せてくるような、他では得られない「心の動き」と向き合いたい方は是非一度足を運んでみては。

19/8/8(木)

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