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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン

ブルーノ・ガンツの遺作。 『ヒトラー/最期の12日間』でヒトラーを演じたガンツが、同じ時代の重要人物、フロイト博士を演じている。まるで正反対の人物なのに、俳優というのはすごいものだ。 主人公は17歳の青年で、フロイトは脇役だが、ガンツの存在感は圧倒的だ。映画でのフロイトは威圧的な人物ではないが、その言葉のすべてに説得力がある。 オーストリアがドイツに併合される時期にウィーンにいた青年のドラマ。同調圧力、相互監視の重苦しい時代を、ひとりの青年の視線で描く。恋のシーンはとても美しい。悲劇に終わるという予感があるから、余計に美しく見えるのか。 ナチスの蛮行を描いた映画はたくさんある。犠牲になるのはユダヤ人や社会主義者、あるいは「変わった人」たちだ。しかしこの映画では、「ちょっと気骨のある人」程度でも、ナチスに目をつけられてしまう恐ろしさが、じわっと伝わる。 ガンツにはヒトラーの映画のときに記者会見で質問したことがある。たしか、ヒトラーを演じていた日々は、必ずバッハを聴いて精神を浄化してから眠っていたと答えた。フロイトを演じていた日々は何を聴いていたのただろう。

20/7/21(火)

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