評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります
堀 晃和
ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。
花束みたいな恋をした
21/1/29(金)
「切り返し」は2人の会話を描写するオーソドックスな手法だ。対象を交互に撮影し、編集してつなぐことで、話の内容や表情、雰囲気を効果的に表現できる。 冒頭に、この「切り返し」が登場する。ぜひ、注視してほしい。なぜ勧めるのかは観てのお楽しみだ。 『東京ラブストーリー』などテレビドラマでヒットを連発してきた脚本家の坂元裕二によるオリジナル作品。東京の私鉄沿線を舞台に、5年間の恋愛模様が描かれる。微笑ましく、熱く、そして切なくなる物語だ。 山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)は21歳の大学生。終電を逃したことで偶然知り合った2人は、音楽や小説、映画と共通の話題があまりにも多いことから恋に落ちる。多摩川沿いのマンションで同棲を始め、卒業後はお互いフリーターになりながらも穏やかな日々を送っていた。麦は夢を抱いてイラストを描くバイトを続けていたが、収入が安定しないため就職を決意。そんな現実を見つめ始めた麦に、絹は戸惑う。絹の就職が先に決まり、麦も会社員になった。次第に2人はすれ違うようになり……。 麦のアパートで炬燵に並んで入りながら焼きおにぎりを頬張る2人に心が動いた。男女の距離が縮まった印象的なシーンだ。
21/1/29(金)