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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

本年度アカデミー賞作品賞ノミネートの中で、実は一番、心の奥まで届いた映画があの名作『若草物語』を『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督が映画化したこの作品です。 小さい頃に当たり前のように読んでいたこの小説は、性格の異なる4姉妹それぞれの生き方がとても象徴的であり、あの時代に女性がお金を稼ぐ大変さも描かれていたんですが、新しく生まれ変わったと言えるこの映画がなぜ、アカデミー賞6部門ノミネートという評価になったのかは、“今”の時代に伝えるべきメッセージが詰まった“脚色”の素晴らしさだったからでしょう。 女性は結婚して幸せになるのが当たり前の時代。いや、もっと言うと、女性は裕福な家庭に嫁いでこそ親孝行である時代。実際にそんな時代もあり、今でも先代から引き継がれた固定概念により、“エリートと結婚をして家に入るのが女の幸せ”と思い込んでしまっている人もいるのは事実。映画は、4姉妹の結婚観をフューチャーし、“女の幸せとは何なのか?”を問うものになっているんです。 脚本を務めた『フランシス・ハ』や、アカデミー賞ノミネートの『レディ・バード』にも見えるグレタ・ガーウィグ監督らしい語り口で、“女の子だってもっと自由に生きていい”と個を大切にすることを現在の女の子たちに伝えようとしているのです。 結婚観についてエマ・ワトソン演じる長女メグの葛藤や、フローレンス・ピュー演じる四女エイミーの視点で気づかされ、シアーシャ・ローナン演じる次女ジョーからは、社会において女性の位置が低かろうが感性を自由に羽ばたかせる勇気を貰え、エリザ・スカンレン演じる三女ベスからは他者を思いやり助け合いの気持ちを学ぶという、全てにおいて女性の才能開花に繋がる作品。多くのリメイク映画の中でも傑作中の傑作。是非、映画館で観て欲しいのです。

20/6/11(木)

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