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水先案内人のおすすめ

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現代の名人芸を追い続ける

山本 益博

1948年生まれ 料理評論家、落語評論家、プロデューサー

第25回「COREDO落語会」

今回の目玉は、柳家喬太郎の『錦の舞衣』(上)。プッチーニのオペラで有名なサルドゥの戯曲『トスカ』を、明治期の三遊亭円朝が、舞台をローマから江戸へ、画家マリオ・カヴァラドッシを絵師狩野毬信、歌姫トスカを舞踊の名手坂東須賀に替えて翻案した作品で、全編を一挙に口演すると2時間かかる、落語では超がつく大作と言ってよい。それを、今回と次回(6月)と2回に分けて高座にかける。 喬太郎は、このように円朝の噺から、古典落語の滑稽噺、人情噺、そしてその改作、さらには自作をはじめとする新作落語と、噺のレパートリーはオールラウンドにして多彩。どの噺も、現代語感に優れ、時代を批評する精神に溢れ、なにより「人間味」が豊かに描かれている。私の知る限り、「達者」で「巧く」て「面白い」、いま、こんなに魅力的な落語家は他にいないのではなかろうか。 あとは、柳家さん喬『幾代餅』、橘家圓太郎『祇園会』、三遊亭わん丈『近江八景』。どれも聴き物だが、圓太郎の『祇園会』は、東京っ子が気分爽快になる噺で私が大好きな名作である。

21/2/19(金)

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