Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

一瞬がすべてを救う映画、だれも断罪しない映画を信じています

相田 冬二

ライター、ノベライザー

COLD WAR あの歌、2つの心

腐れ縁。ということばがある。字面は美しくないが、どうしても離れられないふたり、ということである。 腐れ縁のふたりは、みんなに祝福されるあいだがらではない。おおやけには一緒になれない問題を内的にも外的にも抱えているからこそ、腐れ縁は腐れ縁たりえている。 ずっと一緒にはいられないから、離れる。だが、まためぐり逢う。ことによると、何度でもめぐり逢えるからこそ、離れるのかもしれない。 冷戦下の1950年代、ポーランドからパリに亡命した女と男の15年にわたる腐れ縁を見つめる本作。 このひとしかいない。という想いは、流転する運命によってかたちづくられたものではない。その想いこそが、運命を流転させているのだ。 世間は、多くのものを失った穢れたふたり、と認識するのかもしれない。だが、この映画と出逢った観客は、ふたりのあいだには、流れ流れて転がって転がったからこそ辿り着いた澄みきったなにかがあることを発見するだろう。 どんなに時代が変わっても。腐れ縁は、あこがれに値する関係性である。

19/6/24(月)

アプリで読む