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水先案内人のおすすめ

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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

騙し絵の牙

ベストセラーになった同名小説の映画化。本を読んだ後で映画を観ると、原作への思いが強いこともあって期待はずれだったという経験があるが、本作においては杞憂だ。出版不況下の出版社を舞台に、見事なエンタテインメント作品に仕上がっている。文句なしにおもしろい。 物語は、大手出版社「薫風社」の創業一族の社長が急逝した場面から始まる。早速、次期社長をめぐる権力闘争が顕在化。あわただしくなった社内で、専務の東松(佐藤浩市)は、カルチャー誌「トリニティ」編集長の速水(大泉洋)に同誌の廃刊をほのめかす。社の大改革を進めるため、採算が取れない部門は整理するというのだ。軽妙な語り口と親しみやすい人柄で交渉術に長けた速水は、斬新な企画を打ち出していく。若手女性編集者の高野(松岡茉優)は、そんな速水のもとで自身が見出した新人作家の育成に励もうとするが…。 著者の塩田武士は、大泉を主人公にして当て書きしたという。それだけに、速水のキャラクターは飄々とした雰囲気の大泉にぴったり。他に松岡、佐藤、國村隼、佐野史郎、中村倫也、木村佳乃…と、豪華な出演者も大きな見所だ。そして、ぜひ「牙」に込められた意味も見逃さないでほしい。

21/3/20(土)

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