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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

コントラ KONTORA

インド出身のアンシュル・チョウハン監督が2019年に自主制作しエストニアの「タリン・ブラックナイト映画祭」でグランプリに輝いた作品です。過去に何かを抱えた男が突然無言で後ろ歩きを始め、一方、父との関係が冷え切っている娘のソラは父の車にぶつかってけがした男を介抱します。過去を背負った男とソラ。2人の運命は急死したソラの祖父が密かに残した第二次世界大戦時の日記に導かれるように大きく動き出します。 成人するまでは大好きな映画を1本も見ることができなかったという監督は、両親から受けた様々な抑圧を一つ一つ浄化するために映画作りを始めたと過去のインタビューで語っています。そんな思いが力強い演出と画面構成に現れて、一瞬たりと目を離すことができません。長編第一作の『東京不穏詩』と同様、主人公の女性が自分探しを目的に都会から離れたり逆に目指そうとする様子は共通しています。ただ前作よりユーモアを感じさせる場面が増えたのは監督自身の抑圧された心が若干でも解放されたからでしょうか。 映画はラストまで予断を許さない緊迫した展開が続きます。早くも次の作品を期待したくなりました。

21/3/16(火)

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