いきなり戦場の真っ只中に放り出されるような映画だ。何しろ四方は険しい山に囲まれた谷底が舞台で、敵に包囲され攻撃されれば、格好の的になってしまう。どこから弾が飛んでくるか分からない。一瞬たりとも油断できない絶望的に不利な状況、しかも、その一部始終が実話だというから恐れいる。冒頭に「06年に米陸軍は対ゲリラ作戦として、アフガン北部に前哨基地（アウトポスト）を築いたが、その目的は現地の人々と連携し、パキスタンからのタリバン兵を防ぐこと」と字幕で説明されるが、その基地が09年10月にタリバンの精鋭部隊から総攻撃を受け、14時間に及ぶ過酷な戦闘状態に突入する。若き日の父親クリントに気持ちが悪いほど似てきた息子スコット・イーストウッドや、メル・ギブソンの息子マイロ・ギブソンらがドキュメントと見まがうリアルな戦闘の中を駆けぬける。

21/3/6(土)