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話題作、アート系作品を中心に
恩田 泰子
映画記者(読売新聞)
バクラウ 地図から消された村
20/11/28(土)
シアター・イメージフォーラム
人間は概して区分したがる。映画をジャンル分けし、他者を安易に格付けする。でも、この『バクラウ』は、そうしたすべてを吹き飛ばし、無効化する快作。奇想に満ちた近未来映画であり、社会派スリラー。スラッシャーのち『七人の侍』でもある。時は今から数年後。ブラジル北東部にある僻地の村バクラウで、長老の女性が亡くなった直後、不可解な出来事が起き始める。その村の存在がインターネットの地図から消え、上空には謎の飛行物体。あやしいよそ者もやってくる。ジョン・カーペンターの『NIGHT』が流れる。世界の終わりか、それとも──。重ねられた謎が明らかになるたびに血が流れる。そして私たちは目の当たりにする。人を見下す者の卑小さを、見下された者の真価を。監督たちによる前作『アクエリアス』(Netflixで配信されている)も合わせてみると、さらに味わい深い。
20/11/26(木)