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水先案内人のおすすめ

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ダメな人が出てくる情けない話やバカげた映画を中心におススメ

村山 章

映画ライター

よこがお

深田晃司は本当に食えない映画監督だ。いや、本人は至って自然体なのに、いわゆる世間の一般常識を引っかき回す映画を作らずにいられないのだ。 本作では、筒井真理子演じる主人公が、いわば本人には責任がない罪で糾弾され、追い詰められ、復讐心を募らせる。ただし深田監督は、ラース・フォン・トリアーのように登場人物をいじめ抜いたり、ことさらに愚かな卑劣な人間性を強調したりしているわけではない。あくまでもフラットに、人間は、社会はこういうものだという確信が、世の中を逆なでするような作風に繋がっているのだ。 劇中で、主人公の市子は世の中から糾弾されるが、深田監督の視点は誰も糾弾していない。善悪という寄る辺が見つからず不安になる観客もいるだろう。しかし深田監督の視点は、既製の価値観からの解放でもある。われわれを不安にさせつつ自由にもしてくれる深田映画が、また1本生まれた。

19/7/22(月)

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