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インディペンデント、自主映画、ドキュメンタリー、映画祭、特集上映などを中心に

水上 賢治

映画ライター

冬時間のパリ

本作は、一見するとふた組の夫婦のラブストーリー。それをフランス映画らしいといっていいかは分からないが、大人の男女のくんずほぐれつの愛が描かれる。 ただ、その一方で背景に封じ込められている事柄が実は本作の最大のテーマなのではないかと勘繰りたくなる。 それは抗いようのない時代の流れ。敏腕編集者のアランは作家うんぬんではなくもはや売れるか売れないかで電子書籍ブームに乗ろうとし、私小説を書いてきた作家のレオナールは、プライベートの切り売りと相手のプライバシーへの配慮を咎められる。女優のセレナは人気シリーズに出演し続けることにモチベーションを見いだせない。 経済やお金より芸術や文化を大切にするイメージのあるフランスでさえ、時代の流れかどこか人間の価値観が変わりつつある。実は恋愛、夫婦の関係の在り様まで変えつつあるのではないかということを、本作は物語っているように思えてならない。

19/12/20(金)

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