コロナ渦の中で、私たちは、人が生きるために必要なことは何かに改めて目を凝らすことになった。そんな中でこの映画を見ると、人の心とアートとの切っても切れない結びつきを実感せずにはいられない。異能アレハンドロ・ホドロフスキーが考案した心理療法「サイコマジック」実践の記録。人々のトラウマを「言葉」ではなく「行為」でいやすその手法は、強烈なアートパフォーマンスのよう。ある者は、自分をいったん土葬する。ある者は、体を金色に染め光と同化する。それぞれが自分を演じ直し、生まれ直す。そこまでやるか？と思いつつも、見ていて心動かされるのは、再生への希望を感じるから。ホドロフスキーが映画を通して表現していることの原型が詰まった映画だ。

20/6/9(火)