静岡県三島市にある複合施設、クレマチスの丘にあるベルナール・ビュフェ美術館の収蔵品を中心にした戦後のフランスで活躍した画家、ビュフェの回顧展。エッチングのような黒く鋭い描線が特徴で、一点一点が「圧が強い」ビュフェの作品ではあるけれど、この会場ではするすると軽やかに観賞できるのがすばらしい。というのは、展示室の壁紙が色鮮やかで、ビュフェの作品の陰鬱な感じを払拭してくれているから。そして、いくぶん軽やかになり、長時間見ていられるようになったぶん、ビュフェの描写力や構成力など、画家の持つ素晴らしいところもじっくりと堪能できるのだ。特に楽しいのは彼の描く動物の絵。蝶やカエル、カニに鳥などずっと見ていられそう。

20/12/6(日)