才能の発見に観終わって小躍りした映画。日本でも大金をかけずとも頭の使いようでSF映画が撮れるんだと証明してくれた気がします。 自身が書いたオリジナル脚本で長編監督デビューを果たした荒木伸二監督の想像力に脱帽しながら、撮影や照明、録音、美術、音楽までセンス良いなぁと思っていたのには、経験と才能あるスタッフ集団の力も加わってのこと。 『水曜日が消えた』に続く今年2本目の主演作となる中村倫也氏が、これまた違う表情と歩き方で、生きる意味を失った主人公の感情を全身で再現。さらにキャスティングも新鮮で、連れて来られた不思議な施設で彼と親しくなる自信過剰な女性を演じた立花恵理さんの演技にすっかり魅せられてしまいました。そんな彼女とは対照的な石橋静河さんの抑えの演技が加わることで絶妙なハーモニーを奏でる物語。山中聡氏の安定感あるカメレオンぶりに、ラストまでゾクゾクしながら見続けたのでした。

20/9/3(木)