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古今東西、興味のおもむくままに

藤原えりみ

美術ジャーナリスト

マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン 展

フォルチュニといえばプリーツドレス「デルフォス」を考案したファッション・デザイナーという認識しかなかったため、本展を見て驚愕。 「デルフォス」は古代ギリシャの衣服に触発されて生まれ、19世紀末から20世紀初頭にかけて女性の身体をコルセットから解放したポール・ポワレ、マドレーヌ・ヴィオレの業績を継ぐ画期的な提案だった。さらに日本の着物や型紙染織に触発された、ベルベット生地にプリント加工を施したガウンなども。 ところが……彼の活動領域はファッションだけではなかった。幼い頃に亡くなった画家の父親を敬愛し絵画を学ぶが、当時の最先端であった印象派やポスト印象派には目もくれず18世紀以前のオールドマスターと呼ばれる画家たちの研究に邁進。優れた描写技術を身につけただけではなく、版画や写真にも取り組む。さらにワーグナーへの傾倒から舞台衣装や舞台美術、舞台照明を手がけ、遠隔操作で舞台照明の明暗の調整を可能にするシステムを開発。技術革新に関してはその他に34件もの特許を取得。20世紀のレオナルドと称されていたとは……。 芸術的に恵まれた環境で育ち、自らの才能を開花させ、卓越したビジネスセンスを備えていたフォルチュニ。そのマルチタレントぶりは目眩もの。

19/7/26(金)

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