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古今東西、興味のおもむくままに

藤原えりみ

美術ジャーナリスト

世界の涯ての鼓動

ノルマンディーの海岸沿いのホテルで恋に落ちた2人。だが海洋生物数学者のダニーは生命誕生をめぐる研究のためにグリーランド沖の深海に、水道技師と語りながら実はMI-6の諜報員であるジェームズは爆弾テロを阻止するためにソマリアへと旅立つ。 オープニングシーンの後、映画のタイトル場面にいきなりドイツ・ロマン主義絵画を代表する画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《海辺の僧侶》が。予想外の作品の登場に「おおっ?!」。そして、カメラは《海辺の僧侶》を見ながらイヤホンガイドを聞くジェームズを映し出す。彼と背中合わせにベンチに坐る男性二人。実は彼らはMI-6の上司でイヤホンガイドを装ったインカムで潜入指示をジェームズとやり取りする。その後、会話しながら移動するジェームズがじっと見入った絵画は、19世紀ドイツの画家アドルフ・フォン・メンツェルによる足首から下だけを描いた奇妙な絵。 圧倒的な自然の威力と人間の非力さを感じさせるフリードリヒ作品と、赤く腫れ上がったように見える生々しい足のメンツェル作品は、ダニーとジェームズがそれぞれ置かれることになる危機的状況の暗示ではなかろうか。互いへの思いを募らせながら、遠く離れた場所で極限状況に追い込まれていく2人。緊張感溢れる凝縮した展開の連続だけに、ラストシーンの海と光の揺らめきが心地よい。

19/7/29(月)

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