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水先案内人のおすすめ

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インディーロックや、その周辺のカルチャーを紹介

黒田 隆憲

音楽ジャーナリスト、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン研究家

クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime

1970年代から活動を始め、日本でもこれまで「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」に参加したり、水戸芸術館(1990–91年)や東京都庭園美術館(2016年)などで個展を開催したりしてきたクリスチャン・ボルタンスキーの、この50年間の足取りをたどる過去最大規模の回顧展が、東京・国立新美術館で開催されている。 彼がテーマに掲げているのは「集団や個人の記憶」「宗教」「死」といったもの。1960年代後半は主に映像を使った作品を手がけ、その後は写真や書籍、日用品などさまざまなマテリアルを組み合わせた作品を展開。近年は「人々が語り継ぐこと」をテーマに、音声など目に見えないものをいかに作品へと落とし込むかに取り組んでいる。 今回の展覧会では、そんな彼の作品(最新作を含み)を50点近く展示。「空間のアーティスト」と自ら形容し、個々の作品を時系列にとらわれず有機的に配置することによって、ひとつの大きなインスタレーションとして構成しているのが特徴である。そのため、作品ごとにキャプションなどは設けておらず、入り口で配られるパンフレットをガイドに会場内を進んでいく仕組みになっている。場内は薄暗く、パンフは読みづらいので事前にある程度、予習してから挑んだ方がより作品への理解が深まるかもしれない。 古着で壁を埋め尽くした《保存室(カナダ)》、真っ黒なコートをうず高く積み上げた《ぼた山》など、失われた人々の「記憶」や「存在」を浮かび上がらせる作品たちが圧巻。

19/8/1(木)

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