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水先案内人のおすすめ

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日本映画注目作を中心に、旧作上映まで幅広く

樋口 尚文

1962年生まれ 映画監督、映画評論家

県警対組織暴力

1973年に始まった『仁義なき戦い』シリーズは熱狂的な人気を集めたが、その東映実録路線のブームも一段落した頃に、忽然と登場した傑作。ここでは『仁義なき戦い』を牽引した広島やくざ・広能昌三に扮した菅原文太が警察側にまわり、地元やくざと癒着した悪徳デカ・久能を活気たっぷりに演じている。久能とズブズブの盟友であるやくざ・広谷に扮した松方弘樹もノリに乗っている(広谷+久能=広能なので二人は表裏一体、紙一重というわけだ)。文太・松方コムビを着火させる、おなじみ笠原和夫の脚本は緻密でゆるぎなく、深作欣二の演出も弾けまくっている。このヤバい二人組のちょっとホモセクシュアルな感じすらある“情”が、それぞれの組織の“理”によって破綻に追い詰められてゆくさまは、実は任侠路線の金字塔『博奕打ち 総長賭博』を思い出させる高密度ぶり。怖くてビターなラストまで、アンチヒーロー物の魅力炸裂の伝説的作品である。

20/6/18(木)

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