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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

アイダよ、何処へ?

8月16日未明、アフガニスタンはタリバンに制圧された。同日世界中を駆け巡った、国外へ脱出しようとする群衆がカブールの空港に押し寄せ離陸しようとする飛行機にしがみついて振り落とされる映像は、真に衝撃的だった。恐怖の極み、戦慄的なその映像は、観たばかりの『アイダよ、何処へ?』で描かれた1995年、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争が決して過去のものではないことを、物語っていた。 1995年7月11日、ボスニア東部の街スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって始まったボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争。避難場所を求める2万5千人の市民が、町の外れの滑走路がある国連施設に殺到。国連平和維持軍の通訳として働くアイダは、夫とふたりの息子を強引に施設内に招き入れるが、町を支配したセルビア人勢力は、国連軍との合意を一方的に破り、避難民の処刑を開始する。愛する家族と同胞たちの命を守るため、アイダはあらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走するが……。 第93回アカデミー賞国際長編映画賞部門にノミネートされた本作の監督・脚本はヤスミラ・ジュバニッチ。1974年12月19日 サラエボ生まれ。2006年にベルリン国際映画祭で長編デビュー作『サラエボの花』が金熊賞、続く『サラエボ、希望の街角』(10)もベルリン国際映画祭コンペ部門に選出。いま最も脚光をあびる女流監督が描く、自国の悲劇には深い怒りと悲しみが込められている。

21/9/1(水)

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