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木谷 節子

アートライター

美男におわす

タイトルの『美男におわす』とは、与謝野晶子の短歌「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は 美男におわす 夏木立かな」からとったもの。今から100年以上も前に晶子が「イケメンね」と詠んだのは鎌倉大仏限定だが、あらためて日本の美術作品を見回すと、いろんなタイプのイケメンたちが登場する。 にもかかわらず、日本美術では美女を描いた「美人画」はあるものの、美男を描いた「美男画」なるジャンルは存在しない。よく考えると「美人」=女性限定というのも不思議なことだが、要するに日本美術の伝統では、男性を美しいものとして、あえて表現したり、鑑賞したりする意識がなかったということでありますな。 しかし日本には、単に男らしいヒーローのほかにも、若き日の聖徳太子や牛若丸といった伝説の美少年や、僧侶や武将たちの間で流行った男色文化、男性が女性を演じる女形と、「美男」をめぐる豊かな伝統・文化があるわけで、それらを育んだ美意識が、現在のアイドル文化や、漫画やゲームのキャラクター設定にまでつながっているのは、なんとなく想像がつくところ。 たぶん、日本人は、男も女もけっこうな美男好き、とみた。そんなことを考えながら、浮世絵、日本画、彫刻はもちろん、少女漫画や写真といった幅広い作品を見る本展は、楽しくないはずがない!

21/9/9(木)

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