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時代劇を中心に、過去の日本映画やテレビドラマについての、主に製作状況に関する研究を行う。スタッフや俳優への取材・聞き書きによる証言収集と検証をライフワークとする。個人的な趣味としては洋画が好き
春日 太一
映画史・時代劇研究家
聖なる犯罪者
21/1/15(金)
ヒューマントラストシネマ有楽町
カトリック教徒、あるいはなんらかの宗教が価値観の基盤にあるような国にいる人なら、この作品はさらに強く心に突き刺さってきたかもしれない。 もちろん、私も含めたそうでない人間にも十二分に見応えのある作品だった。 少年院を出て、ひょんなことから教会の司祭に成りすますことになった青年の物語。 描かれるのは、さまざまな「赦し」の可否。そこに救いはあるのか……。静かなタッチの中で青年の闘いと葛藤の日々が綴られていく。 そして待ち構えるラストシーン。これをどう捉えるか……その解釈には恐らく正解はない。この寓話的な物語から何を感じ、何を受け止めるか。全て、こちらに委ねられている。 そして、その投げかけてくるものは途方もなく重い。その苦味、しばらく噛み締めていたい。
21/1/17(日)
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