部屋の中のコンセントプラグも、集合住宅の階段も、ベランダから仰ぎ見る抜けるような青空も。すべてのものがやたらくっきりと見えて、そのものが持つ意味や用途などには少しも関心が向かなくなり、ただ「そこにそれが存在する」ことだけがわが身に迫ってくる。そんな体験をすることが、人には稀にあるんじゃないか。佐藤雅晴「死神先生」は、そんな透徹した眼で眺められた彼の身の回りの記録だ。これまで多くの映像作品を展開してきた佐藤は現在、病を得て外出もままならない。映像をつ...

19/3/1(金)