Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

謎、秘密、恐怖が渦巻くスリル&サプライズ映画が専門分野です

高橋 諭治

映画ライター

シリアにて

今世紀最悪の内戦と呼ばれるシリア情勢については、いくつかのドキュメンタリー映画やニュースで伝えられているが、ベルギーのフィリップ・ヴァン・レウ監督が手がけた本作は鋭いリアリズムに貫かれたフィクション。熾烈な市街戦が続くシリアの首都ダマスカスのアパートを舞台に、その自宅に身を潜める一家の24時間の出来事を描く。 ほぼ全編カメラがアパート内にとどまるこの映画はワンシチュエーションのサスペンス劇であり、限定された視界と生々しい音響効果が観る者の想像力をかき立てるようにして、戦場の恐怖をひしひしと伝えてくる。それゆえにシリアにとどまらず、あらゆる時代や国の出来事に置き換えることが可能な普遍性を獲得した作品となった。 また、戦争の不条理がいかに庶民の生活をむごたらしく蝕むかというテーマを追求した本作は、ふたりの母親を中心とした女性たちの物語でもある。フィクションならではの新しい視点が際立つ“戦場の映らない戦争映画”なのだ。

20/8/23(日)

アプリで読む