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Tak

美術ブロガー

【開館55周年記念特別展】 川合玉堂 ―山﨑種二が愛した日本画の巨匠―

速水御舟とならんで山種美術館に所蔵作品が多い川合玉堂。創立者の山﨑種二氏は生前玉堂に強く惹かれ画家と交わいつつ作品を蒐集してきました。「絵は人柄である」との信念を持っていた種二氏と玉堂との交流は親密で、現在山種美術館には71点もの作品が残されています。その中には、山﨑種二氏の長女が結婚する際にお祝いとして描いたおめでたい《松上双鶴》といった一枚もあり、今回の玉堂展にも出ています。 安定した人気のある川合玉堂の展覧会は定期的に行われています。明治、大正、昭和と生き抜き83歳まで絵筆を握り続けた川合玉堂(1873-1957)の作品は、これまでノスタルジックな印象や、どこか懐かしい日本の原風景を観ているように感じていました。絵は観る人のその時の気持ちによって見え方、感じ方がこれほどまでに変わるものであることを今回の玉堂展が教えてくれます。玉堂が描いた郷愁味たっぷりの日本の風景を楽しみつつも、今回はその中に描かれた小さな人々の姿にひと際目が行ってしまうのです。 新型コロナウィルスの世界的蔓延により、思いもしないよう世の中でかれこれ一年も過ごしていると、描かれている「何でもない日常の美しさ」に強く惹かれるのものです。「今回の玉堂展とにかく心に響いた」と多分多くの方が同じ感想をお持ちになることでしょう。これまで玉堂作品や日本美術作品を通してほとんど感じることの無かった「人間の生きる逞しさ」といった新たな視点で接せられいたく心に染み入りました。絵画の持つ力などと軽々に口にするのもいかがなものかと思いますが、今回の玉堂展ではリアルにそれを実感できます。佳き展覧会です。竹内栖鳳、横山大観と三人で描いた《松竹梅》や玉堂が身近なものへ目を向け描いた可愛らしい作品《兎》も出ています。こんな時だからこそ観に行きたい展覧会です。

21/2/14(日)

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