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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数
中川 右介
1960年生まれ、作家、編集者
パピヨン
19/6/21(金)
TOHOシネマズ シャンテ
フランスといえば、人権宣言であり、革命であり、自由・平等・博愛。ところが、すさまじい人権無視の監獄制度が20世紀前半まであったことに、改めて驚く。45年前、中学生の時に観た前作は、脱獄に挑む男の生き方のかっこよさと、マックイーンとホフマンが演じる二人の友情の物語だと思って観ていたが、こちらが大人になっているせいか、監獄制度への批判精神を強く感じる。 この物語を、2010年代に映画にする意図は、世界中が相互監視社会となり、現代人は大きな監獄の中で生きているのと同じ、そんな時代に自由に生きることが可能なのかを問うため――と難しく考えることもできる。でも、やはり、冒険と友情の娯楽映画である。 前作と比較するのは意味がないが、大きな違いは、前作が描かなかった監獄に入れられるまでと、脱出した後のことも、描かれている点。
19/6/19(水)