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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

令和2年11月歌舞伎公演

【第一部】『平家女護島-俊寛-』 全盛を誇る平清盛に対して鹿ケ谷の山荘で陰謀を企てていたかどで、俊寛僧都と平判官康頼、丹波少将成経の3人は絶海の孤島・鬼界ヶ島へ流される。おんぼろの着物をまとい、痩せ果てた3人。だが成経は島の娘千鳥と出会い、夫婦の約束をすることに。辛い島の生活がほんの少し明るい思いに包まれたそのとき、都から赦免船がやってくる。驚き喜ぶ4人。 ところが降りてきたのは都の役人瀬尾が赦免状を読み上げると、そこに俊寛一人だけ名前がない。再び絶望に落とされる俊寛。だがもう一人の役人の丹左衛門尉は、清盛の嫡男で知勇にすぐれた平重盛からの赦免状を以て、俊寛をも赦免すると告げる。再び安堵と喜びに包まれるのもつかの間、赦免船に乗せるのは3人のみ。千鳥は乗せられないと瀬尾は言うのだが……。 流人の3人のこしらえ(衣裳など)は見るからにおんぼろ。だがこれも錦など様々な布をはぎ合わせた手の込んだもので、特に千鳥と結ばれる若い成経のものは色味も一段と明るく綺麗。聞けばそこそこに重量感もあるのだとか。そして瀬尾は赤っ面で典型的な歌舞伎の敵役だ。対する丹左衛門尉は爽やかな白塗りの立役。対比は鮮やかだ。また俳優にとっては瀬尾は演じて面白く、丹左衛門はスカッと気持ちがいいのだとも。 だがよーく台詞を聞くと、瀬尾は一人の役人として間違ったことは言っていない。言い方が憎体なだけで、上からの指示に従い、書類にある通りの命令を出しているだけである。対する丹左衛門は慈悲深く聞こえる物言いだが、今風に言えば「公文書を改ざんする」気なのだろうか?とも響く。あるいは聞こえのいいことを言うけれど、責任はとれないとも。都の為政者の抗争が離れた島の流人の命をも左右する悲劇にもとれる。作者の近松門左衛門は見かけの対比の面白さだけではないドラマを、細部にわたって仕掛けているように思える。 本筋のドラマはこれからだ。都で清盛にとらえられた俊寛の恋女房東屋は、清盛の側室になることを拒み殺されたと俊寛は知らされる。都へ帰る意味を見失い、自分の代わりに千鳥を乗せてやろうと瀬尾を刺し殺し、自分は一人島へ残る。船は出た。思い切ったはずの俊寛だが、「思い切っても凡夫心」。絶海の孤島に一人残される。 今月の国立劇場では序幕に『六波羅清盛館の場』が付き、東屋のくだりがよくわかる構成となっている。 清盛と俊寛、二役に中村吉右衛門。

20/10/24(土)

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